“人生100年時代”。健康寿命が伸びていくなかで、私たちの労働人生も長くなっていくことが予想されます。
新卒で働き始めてから、20代、30代、40代、50代……と続く長い年月の間、結婚や子育て、子どもの独立、介護などライフステージは変化しますから、それぞれのフェーズに応じて、働く目的も変わっていくのは当然といえます。
今回は、なぜ私たちは働くのか。その理由について考えてみましょう。
そもそも、なぜ働くの?
そもそも、私たちは、なぜ働くのでしょうか。
約100歳まで生きるとも言われる長寿時代、私たちが働く時間ものびています。過去の資産計画は崩壊し、60歳の定年以降もバリバリ働く人が増え、社会構造や男女の役割分担は大きく変化しています。働く意味、価値観が大きく変化しています。
20代からの50年には、結婚・出産・子育て・介護などのほか、会社の業績がかわったり、同僚と人間関係が悪くなったり、病気をしたり、興味関心が変わったり……。
そのときどきに応じて、働く場所、働き方が変わっていくのは当然。ライフステージや状況が変わったとしても、引き続きご自身が主導権を持って、希望する仕事内容で、待遇条件等が変わりにくいキャリアを形成する必要性が求められています。
フェーズごとに働く目的は異なる
あるアンケート調査によると、「何のために働きますか?」という質問に対し、20代・50代では「生活を維持するため」、30代・40代では「家族を養っていくため」という回答が目立ちました。
また、20代の多くは「自分の夢や目標を叶えるため」「有意義な人生のため」、30代は「趣味や余暇を楽しむため」、50歳以上は「世の中のため」という回答が多い結果に。
若い世代は自分のため、ミドル世代は家族のため、そして、年齢を重ねるにつれて、社会貢献への想いが強まる傾向がうかがえます。
つまり、働く理由は、「生活のため」「貯蓄のため」といった、経済的な理由だけではなく、「自己実現のため」「心身ともにリフレッシュする時間を過ごすため」「学び続けるため」「仕事を通して生活リズムを整えるため」「脳を鍛えるため」「社会とつながるため」「社会貢献のため」など、多様化していますし、それだけ利点も多いのです。
働くことは苦しみもあるが、喜びもあり、成長になる
働くことは決して楽ではありません。苦しい、辛い出来事にもたくさん遭遇するでしょう。それでも、仕事を通して得る喜びは多々あるはずです。
例えば、「お客様に喜んでいただいた」「上司や周囲に自分の頑張りを認めてもらえた」という経験を通して、「自分は必要とされている」と、自己肯定感を高めることができるでしょう。
満足できる収入を得られれば、精神的なゆとりや、時間のゆとり、好きな趣味に没頭したり、新しい学びにチャレンジしたり、大切な人を喜ばせたりと、理想のライフスタイルを実現することもできるかもしれません。また、社会的な地位を得る、一人ではできないことをチームで実現するといった喜びも得られる可能性があります。
人生のフェーズごとに優先順位を変えて働こう
充実した人生のためにも、人生のフェーズごとに働く目的や、優先順位を考えることは重要です。今の自分にフォーカスするのではなく、未来の自分を意識し、それぞれのフェーズで何をするべきかを定めることで、人生の充実度は増すのではないでしょうか。
≪例:フェーズごとの働く目的の優先順位≫
・20代
自分がどのように生きていきたいか、ビジョンや方向性を見極めるため。やりたいことを見つけるため。
自分へ投資し、能力や人間性を高めるため。
・30代
専門性を身につけて稼ぐ力を高めるため。
社会的に自立するため。
・40代
家族を支えるため。
収入を増やすために、本業は時短で働き、もう1本、収入の柱を作っておく。
・50代
今まで培った知見を若い世代に提供するため。
子育てが終わり、老後を楽しむための貯蓄を増やすため。
60代以降も働くための準備。
・60代
生活リズムを整え、心身ともに健康であるため。
社会貢献のため。
シニアライフを楽しむため。
まとめ
労働時間の短縮化、テレワークの普及、女性やシニアの就業の安定化など、日本人の働き方は過去10年間で大きく変化しています。
また、近年では、日本特有のメンバーシップ型雇用に加え、欧米のジョブ型雇用が注目されています。時代の変化に応じて、私たちもキャリアプランを見直し、働き方や働く目的をアレンジしていく必要があるのではないでしょうか。