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記録的円安で、日本人の海外出稼ぎがブームに!
2024.6.26 キャリアパス

記録的円安で、日本人の海外出稼ぎがブームに!

記録的な円安が続いているのに、賃金が上がらない日本で、今、海外へ出稼ぎに飛び出す若者が急増しています。ワーキングホリデーを活用したり、就労ビザを取得しやすい寿司職人の養成スクールを卒業し海外で働くなど、その方法は様々。海外へ出稼ぎに行くとき、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。

20年間以上、上がらない賃金

OECD(経済協力開発機構)の発表によると、2020年12月から2023年5月の日本の最低賃金の伸び率は名目で6.5%増、実質0.7%増。米国を除く最低賃金制度を持つ29カ国の平均は、名目が29.0%増、実質2.3%となっており、日本と格差が開いていることがわかります。

次に、平均賃金を見てみましょう。2021年度のOECDの統計によると、平均年収1位のアメリカは74,738ドル。対して日本は39,711ドルとなっており、その差は半分以下!世界ランキングでは24位という低さです。経済成長に伴い、多くの国が賃金も上昇しているにもかかわらず、日本は過去20年間以上横ばいで、ほとんど変わっていません。

加えて、今の円安。2023年4月は1ドル=130円台でしたが、2024年4月末は、一時、なんと1ドル=160円台になったことも。これは、1990年4月以来、34年ぶりだといいます。

こうした記録的な円安は、輸入に頼っている日本では、食品や生活用品などのコストに転嫁され、物価が上がり続けている状況をつくっています。

先進国の多くは物価と同時に賃金も上昇するという成長モデルですが、日本は物価が上がっているのに賃金は停滞しており、世界のトレンドから取り残されています。これによって、生活が苦しいと感じる日本人はますます増えていきそうです。

日本人が海外で出稼ぎする時代に

円の価値が下がるということは、外貨の価値が上がっているということ。アメリカで月2,000ドルの収入を得たとして、1ドル=120円の場合、日本円に換算して24万円ですが、これが、1ドル=150円になると30万円です。

日本で正社員として働くよりも、オーストラリアでアルバイトをしたほうが稼げる可能性もあるでしょう。

こうした日本の現状に見切りをつけ、海外へ出稼ぎをする若者が増えています。「海外へ出稼ぎ」とは、賃金の安い国の人が賃金の高い国で働くことですが、経済大国とも言われていた日本の若者が海外へ流出するようになった背景には、日本の豊かさが低下していることを意味します。

海外で働くためには就労ビザが必要であり、それを取得するのは簡単ではありません。そのため、現在では若者の海外への出稼ぎは、オーストラリアなどでの、ワーキングホリデーを利用したものがメインです。ワーキングホリデーは、簡単に言えば、国と国との契約で、一定期間、現地で異文化交流をしながら、語学を学んだり、就労をして稼ぐこともできる制度です。

オーストラリアの2024時点の最低賃金は時給23.23豪ドル(約2,300円)。ニュージランドでは、2024年4月に最低賃金が引き上げられ、成人の最低賃金は給23.15NZドル(約2,100円)。日本の東京の最低賃金1,113円の約2倍です。たとえば、カフェの店員のアルバイトをして、同じスキル、同じ働き方をしても、日本で働くのとオーストラリアやニュージランドで働くのでは、収入に大きな差が生じるのです。

海外での出稼ぎで失敗しないためには?

では、オーストラリアに出稼ぎに行けば、簡単に稼げると思ったら、失敗するかもしれません。海外で働くということは、海外で暮らすということです。どのような点に気をつければよいのでしょうか?

英語力を磨く

高度な英語力が必ずしも必要というわけではありませんが、仕事の幅を広げ、海外でスムーズに生活するためにも、英語力があるのに越したことはありません。もし、給料の未払いや過剰な労働を強いられるといったトラブルに見舞われたときも、英語ができなければ、自分に有利な交渉は難しいでしょう。

働きたい国についてリサーチする

どの国で働くのかは、事前にその国の情報をしっかりとリサーチすることが大切です。出稼ぎ中の家賃や生活費、交通費などの予算を立ておく必要があります。

また、自分が就いてみたい職種の賃金や待遇、求められる英語力、スキルなども知っておく必要があります。その他、その国の生活環境や社会情勢、マナーや文化なども知っておくことも重要です。

海外では賃金が上昇していますが、家賃や生活費も高騰していることを忘れてはなりません。家賃が高すぎるため、シェアハウスなどを選択せざるを得ず、住人との人間関係がうまくいかなくて悩んでいる日本人もいます。国が違えば、日本で当たり前だと思っていた常識や価値観が異なるものです。文化の違いを受け入れ、柔軟に対応できるスキルが求められます。

帰国後のことをよく考える

高度な英語力が必ずしも必要というわけではありませんが、仕事の幅を広げ、海外でスムーズに生活するためにも、英語力があるのに越したことはありません。もし、給料の未払いや過剰な労働を強いられるといったトラブルに見舞われたときも、英語ができなければ、自分に有利な交渉は難しいでしょう。

「お金を稼ぎたい」という目的だけで、出稼ぎをしてしまうと、せっかく海外で働いてもスキルも語学力ものびず、帰国後のキャリアアップにつながらないことがあります。日本で働くよりも海外の方が稼げたとしても、帰国後はどのようなキャリアを築きたいのか、また、海外の永住権を取得するのかなど、しっかりとプランを立てることが大切です。

まとめ

「海外出稼ぎ」は、お金を稼げるだけでなく、日本ではできないような体験を通して、新しい価値観や働き方に気づき、視野が広がるメリットがあります。自分の市場価値を高めるチャンスにもなるでしょう。出稼ぎを考えていない人も、今の海外出稼ぎブームをきっかけに、日本の経済的実情や働き方、待遇などをグローバルな視点で見つめ直し、自分はどのようなキャリアを築きたいのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。