近年、英語の採用面接では「BDI」という手法を用いることが増えています。日本語では行動記述面接と訳されるこの面接方法。いったいどのようなもので、そしてどのような目的で用いられているのでしょうか?今回はBDIの概要からその目的、面接に向かう際の準備方法などについて解説していきます。
BDIとはどういうもの?
BDIとはBehavioral Descriptive Interviewの略で、日本語では行動記述面接と訳されます。また単にBehavioral Interviewと呼ばれることも多いようです。いずれにせよ、この面接方式は被面接者(面接を受ける人)の過去の行動や考え方について尋ねていくことで、被面接者の採用可否を判断します。behavioralといっても、面接当日の行動を見るわけではないことに注意しましょう。
この面接方法では、過去の経験においてその時にどのように行動したかを尋ねていきます。過去の業務で目標達成したときの行動の仕方や考え方、業務で失敗したときの対処方法やその時の行動について細かく尋ねていくのです。また当然のことながら、これらの考え方や行動について、英語でロジカルに説明する能力もこの面接では求められます。
何を目的としてBDIは用いられるのか?
「こんな時、あなたならどうしますか?」ではなく「過去、どのように考え行動しましたか?」を尋ねるBDI。このような面接方法は、どのような目的で用いられるのでしょうか?
たとえば過去の業務で失敗を経験したのであれば、失敗の内容から状況把握、上長への連絡・相談、チームとしての検討や対処、結果までをシンプルに、そしてロジカルに答える必要があります。面接官はこの答えから、業務で問題が起きたときにあなたがどのような行動をするのかを判断するのです。また同時に、状況を把握する能力やチームの一員、そして会社の一員としての意識も問われることになります。
つまりこの面接方法では、問題が起きたら「〜するつもり」ではなく、事実に基づく「プロセス」と「結果」が問われているのです。BDIは、過去の事実から将来的な被面接者の行動を類推する目的で行われます。
失敗しない人間はいない
このような面接方法が行われるようになった背景には、「失敗しない人間はいない」という考え方があります。そして問われるべきは失敗した事実ではなく、その後どう行動し、どう解決したか、ということであるべきです。
たとえば現代における優れた技術者とは、技術的スキルが高いだけでは不十分です。チームの一員として行動でき、問題が起きれば効率的にそれを解決し、時にはリーダーシップを発揮して結果を出すことが求められます。人材採用で今求められているのは、困難な状況下でも結果の出せる人間なのです。
BDIに対し、どのように準備するのか?
では面接を受ける側としては、BDIに対してどのように準備しておけば良いのでしょうか?もちろん、過去の経験を変えてしまうわけにはいきません。まずは過去に関わったプロジェクトや仕事(業務)の内容を書き出しましょう。
次にそれらでの成功事例や失敗事例をもとに、自分が行った行動を詳細に整理しておきます。そして必ず、その経験からの「学び」も整理しておくことが大切です。
BDIは、英語での面接に多く用いられるようになった面接方式です。最後に整理した内容を英語で書き起こし、訊かれた場合に順を追って、そしてロジカルに説明できるよう記述してみましょう。最後に英語で流暢に説明を行えるよう、一人で、もしくは家族に手伝って貰うなどしてロールプレイングを行っておきましょう。このような準備をあらかじめしておけば、面接でいきなり過去の経験を訊かれたとしても慌てずに答えることができます。
まとめ
英語での採用面接で使われることが多い、ということからもわかるとおり、BDIは外資系企業の面接で多く用いられます。ただし経験からの学びをこれからの業務に活かすということは、日系企業でも当然求められていることです。BDIに備えるだけでなく、自分の過去の経験を整理しておくということは、あらゆる面接の準備に求められることなのかもしれません。