WEBライターと聞くと、単に記事を書く仕事のようなイメージを持っている方は多いでしょう。実際、今現在、活躍しているWEBライターさんの多くがやはり記事を書く仕事しかしたことがない、と言う方も多いかもしれません。そこで、今回は意外な案件とどのような経緯で受注することになったのかについてお話しします。
翻訳のファイナルチェック
ライターの仕事で私がときどき受けるのが、日本語訳のファイナルチェックです。海外の翻訳家が英語や中国語を日本語に翻訳したものを、ライターが訳に間違いがないか、違和感がないか、よりよい表現がないかを考えて、修正しブラッシュアップする仕事です。WEBサイトやパンフレット、動画の字幕、ホワイトペーパー、セミナー資料、論文、広告、アプリの日本語版、プレゼンテーション資料、企画書、SNSなど、依頼されるものはさまざま。分野も医療や法律、IT関係、文学、芸術、飲食系、デザイン系、化粧品やサプリメント、など多岐にわたります。
翻訳家はたしかに正しく翻訳はできるかもしれませんが、より美しい日本語だったり、より豊かな表現だったり、日本人に刺さるキャッチコピーだったりに仕上げるのは難しい場合があります。
法律的に問題がないかも考える
また、広告の場合、景品表示法や薬機法など、日本の法律に従った文章が必要になるケースがあり、英語や中国語をそのまま訳して、WEBサイトやECサイト、パンフレット、動画などで発信できないことがあります。そういった部分も丁寧に修正してよりよい表現にしていきます。
日本人の読者にとってふさわしい日本語訳か
訳された日本語が日本人にとってふさわしい表現かも注意が必要です。たとえば、中国語からの翻訳の場合、日本人よりもアピールが強く、少々、大げさな表現が多い印象があります。日本人の場合、あまり強い表現だと違和感を覚えることがあるため、少しやわらかい表現に変更することが多々あります。
こういった仕事は外国籍の知人からの紹介やそのつながりで海外の方からいただくことが多く、ある程度の海外の人とのコミュニケーションに興味がある、あるいは苦にならない人、好奇心が旺盛であることが重要だと思います。
ファイナルチェックの仕事をしていると、日本語の微妙なニュアンスの違いや海外の翻訳家の誤訳しやすい文言などに気づくことができ、大変興味深いです。
アプリの日本語訳チェック
アプリの日本語訳ファイナルチェックは非常に面白い案件です。
WEBサイトなどと違い、同じ日本語でも短文になるため、間違った訳が出てくることが多いように思います。句読点が間違っていたり、改行がふさわしくない位置だったりすることも多いですね。実際にアプリを見ながら、できあがりをイメージし、文言を調整していくことになります。
アプリケーションの開発は、今、中国が盛んなので、アプリの中国語から日本語訳への案件が多いと思います。
中国の案件の特徴としては、納期が非常に短いこと。それでいながらクオリティを重視します。中国の方は仕事がとても速く、やり取りがテキストではなく、音声のこともあります。自分が伝えたいことを録音して、その音声を送信するイメージです。日本とは少し仕事の進め方が違うので、慣れるのに少し時間がかかるかもしれません。
アプリの翻訳チェックは、中国人のビジネスパートナーの方からいただくことが多く、直接、中国のクライアントさんのWeibo(中国版のLINE)のグループに入れられてやり取りするので(やり取りは英語)、海外の案件では特にコミュニケーション力は必要だと思います。
いつの間にかフードコーディネイター
料理本のライティングをする仕事では、料理の撮影に立ち会うことがあります。どのようにしたら見栄えがいい料理になるか、どのようなおかずにしたらよいかを、クライアントさんと一緒に企画することがあり、そのときは、現場でテーブルコーディネイトや盛り付けをしたりします。ライターなのに、気づくとフードコーディネイターのように。
このようなお仕事は代理店の方からいただくことが多いです。フットワークの軽さが必要なので、クライアントさんに、「このライターはフットワークが軽い」「柔軟に対応してくれる」という印象をもられる仕事を普段からすることも大切だと思っています。
インタビューのライティング
この仕事は非常に多くいただきます。インタビューといっても、自分がするのではなく、次々と送られてくる対談の音声を文字起こしし、規定の文字数で記事化する仕事です。自分がインタビューをしているわけではないので、40分程度の録音を全て聞かないといけないため、時間がかかる仕事です。
インタビュイーが必ずしもリテラシーの高い方とは限らないため、知的に見えるように表現を変えたり、音声の内容に間違いがないか、ひとつひとつリサーチしたりするので、こういった地道な作業が苦手なライターには向いていないかもしれません。ただ、いろいろな方の経験や考えを聞けるので、勉強になる仕事だと思います。
まとめ
いかがですか。ライターにはいろいろな仕事があります。多様な仕事を得るためには、好奇心やチャレンジ精神、コミュニケーション能力や信頼をいただけるような仕事への心構えが必要だと思います。そして、何よりもより良い記事に仕上げようという粘り強さと向上心です。自分の仕事の幅を広げていくことで、新しい世界が見えますよ。