フリーライターとして活躍する正木友実子さんは大学卒業後、大手食品メーカーに就職。20年間もの会社員時代を経て、フリーライターに転身しました。フリーランサーを目指したきっかけや必要なスキルなどについてお話を伺いました。
–フリーランスになる前は、どのようなお仕事をされていましたか?
大学では「人の心、自分の心を深く知りたい」という思いから、心理学を専攻していました。心理カウンセラーのような仕事に憧れていたのですが、当時はカウンセリングに通うのは特殊な人、という偏見が強い時代でニーズが低かったため、早々に断念しました。
就職したのは大手の食品メーカーです。「食」は永遠になくならないものですし、倒産する可能性が低いだろうという、極めて現実的な理由からの選択でした。そこでは、営業事務として、営業スタッフのサポートをしていました。事務作業に加え、営業スタッフと一緒に訪問同行する機会も多く、仕事は面白かったです。
就職した年がちょうどバブルが崩壊した1993年でしたから、まずは安定した職につき、働きながら本当にやりたいことを見つけようと思っていました。ところが、思いのほか居心地が良い会社で、ずるずると。気づくと20年も勤務していたんです。
–なぜ、長年の会社員を辞めてフリーランスになろうと思いましたか?
待遇などがとても良い会社でしたから、このまま定年まで勤めようと思っていました。しかし、勤続20年目で表彰された時に、次の10年後、20年後に同じように表彰されている自分をイメージできませんでした。
次の10年後といえば、私は50歳で、そこから新しいことに挑戦するのは難しいと当時は考えました。もし他のことにチャレンジするなら、少しでも若さが残っている今しかないと思ったのです。ちょうどそのタイミングで早期退職者の募集があり、渡りに船で申し込みました。
–フリーランスになるためにどのような準備をしましたか?
正直言って何の準備もしていませんでした。今から振り返るとよくそんな考えなしのことができたなと思います。早期退職の条件として、まとまった休み、まとまった退職金をもらえたので、人生の夏休みだと捉えゆっくり考えようと、興味のあることを片っ端からやってみました。
そのうちの一つが文章講座だったのです。実際に参加してみたところ、講師から「スジがいい」と褒められて嬉しくなりました。そんな単純な理由で、文章を書くことを仕事にしようと決めました。
–今はどのようなお仕事をされていますか?
WEB媒体をメインに様々な分野の記事や広告を執筆しています。また、ライター業をしながら健診センターでも働いています。コネなし、経験なし、営業も苦手なので、専業は難しいと最初から考えていました。
ライター業は黙々と働く仕事なので、人と接する仕事と両立することは、働き方としてバランスが取れていると思います。
–フリーランスになることに不安や懸念はありましたか?
当時は本当に井の中の蛙で現実を知らず、不安や懸念よりもワクワク感のほうが強かったです。
–実際にフリーランスになって気づいたことはありますか?
会社員時代はいかに恵まれていたかということです。会社員だからこそできる大きな仕事がありました。当時は当たり前のように思っていましたが、今振り返ってみて、多くの経験ができたことに心から感謝しています。
–フリーランスになるためには、どのようなスキルが必要だと思いますか?
自己管理能力です。他の誰かが管理してくれるわけではないので、自分で仕事の量や質を管理する必要があります。あとはコミュニケーション力。きれいごとかもしれませんが、謙虚さを持ち、感謝の気持ちを忘れないことが何よりも大事だと思っています。
–今後の活動や実現したい未来について教えてください。
私は自分のことを限りなくフリーターに近いフリーランスだと思っています。ですから、変なこだわりは持たず、目の前のことをコツコツとやっていきたい。そうすれば自然と未来が開けると思っています。文章を書くことは続けていきたいですが、全く新しいことに挑戦するのもいいかなと考えています。
正木友実子さんプロフィール
大学卒業後、大手食品メーカーに勤務。おもに販促や営業支援業務に携わる。20年の勤務を経て、フリーライターに転身。長らく食品業界にいたことから、食を通じた健康や美容などの分野を得意とする。